石の加工で使うハンマーの柄の採取
今年の冬の仕事として、山形を離れて関西のに来ております。
仕事の休日に、石の加工として使うハンマーの柄(石頭・セットウ)を探して、近くの山に木を採取に行ってきました。
何故この時期かといいますと
根から吸い上げる水分量が1番低く、乾燥するこの時期だからです。(水分無い方が強度が強い)
欲しい木の種類の順番としては
①カマツカ(石工用語で牛コロシ)
②ガマズミ(牛コロシの代用)
③グミ
ですが、①の牛コロシは残念ながらなかなか見つからない。
地元のベテラン職人さんも『無いよ』と言うくらいのレアな木の種類です。ちなみに、市販の柄が必ずしもダメという訳ではないのですが、石工は一日中、石頭などを振り石材を加工します。石材を叩く度に、腕や骨に衝撃が走り筋肉や肉体を疲労させる原因ともいわれておりますので、強靭かつ柔らかい(しなる)柄を使用し、疲労を蓄積しないようにしています。また折れる際にボキッと折れないでジワジワと折れるので、安全面からも重宝されている柄となります。
車を山の頂上付近の作業小屋に置き、小さなノコギリ片手を持ち、まず初めに東の斜面に行きました。予想通り牛コロシはありませんでした。しかし、なんとガマズミの柄がありました
山形と違い雪が滅多に降らない地域なので
、雪の重さで曲がっていない、仕事で使えるいい真っ直ぐな柄がかなり手に入りました。
次に西の斜面に向かいました。事前に
グミの木(有るよ)と聞いてましたので、竹藪をかき分けてすぐに見つかるかと思いきや、これがなかなか見つかられない。
途中の至る所に、獣道を見つけたり猪の泥浴びの池があったり野生感100%満点です。
ある程度、グミの木を採取出来たし
両手も塞がったので帰る事としました。
帰りは楽をして帰れるように、元を来た道ではなく、斜面を下り通い慣れた作業通路に戻る事に決めました。
しかし、歩けど歩けど一向に目指している砂利道に辿り着かない・・・。おかしいなぁと思い携帯の地図アプリを開いたら、作業通路よりどんどんと離れて行ってる(冷汗)
これはヤバいと焦り、多少駆け足になり、そのまま斜面を降りたが、
竹や、笹竹、蔦がまとわりついて、採取した手に持ってる柄に引っかかってなんと歩きづらいこと。
途中、川が流れている所に当たり
歩きやすようにと本能で川伝いに歩く。
石がゴロゴロしてるが歩きやすい。
そのまま歩いて行けば麓に行けると思い気が安堵するが・・・。
しかし、ここでも災難が...
砂防ダムに2カ所も当たり、急な崖を登り回避するが、変な筋肉痛が発生したのが分かった。嫌な予感...。
しばらくすると麓の小学校の校舎が見えてきて、
再度、心底安堵し、感動しました...。
が、またもや獣除けの高いフェンスが2カ所あり
えっ!さすがに参った・・・。
ここに来て今来た道を戻れないので
採取した柄は、道路にポイっとし、身軽にして失礼しながら足を網に引っ掛けて登り降り。
無事に麓に着き、作業通路を15分登り歩いて
頂上付近の車まで辿り着きました。
赤い線が、おおよその、採取した道で
青い線が、砂防ダム
緑の線が、作業通路の帰路
車に着いて1時間後位に通り雨とみぞれが
降ってきて、時間がずれていたらと思うと、ここでも冷や汗とゾワゾワ。
採取した柄は、内部の水分を抜く為に
自然乾燥し、早くても使えるのは半年以上先だそうです。
まさに思いがけなく命懸けとなった柄の採取となりました。
まさかこんな事になるとは、ある意味で凄く勉強になりました。
山を軽くみてはいけません...。
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