参道改修工事
10月上旬、御住職様より参道改修工事のご相談を受けました。
山門前の約15mの参道両脇は、経年劣化によるコンクリート部がひび割れしており、
参拝者のけがの恐れと景観が損なわれていた状態でした。
↑ 着工前
中央部の【白ミカゲ石】と【山寺石】の部分はそのままにして、
景観に合う提案をしていただきたいとのことでした。
参道の歩く所は
①平坦で安全に歩ける
②踏む所は何らかの滑り止め加工がある.
③景観が美しい
④長く保てる を
重点視し、今までの経験と知恵を絞りながら
ご提案させていただいたのが『蔵王石による乱張り』でした。
【乱張り】と聞くと、長野県産の【鉄平石】とご想像つくかもしれませんが、
私が地元の石で施工したいと強く思うのと、加工の取り扱いがしやすいということで
【蔵王石】でのご提案をしました。
石の問屋さんに、土間用に適してる石を選んでいただきました。
購入した蔵王石は、切削面で滑る可能性があったので(ビシャン仕上げ・複数の突起物の点の集合体で意図的にザラザラさせる仕上げ)にしました。参道の右・左の合計距離が25mと長く、手加工ではなくエアー工具による加工をしました。
↑ エアー工具による (ビシャン加工)
↑ 応援石工さんのご協力もあり順調に進みました。
基本的に石頭、コヤスケ、玄翁の手加工で、個々の石を1石1石と加工していき
石の個性を引き出すような形、配色や、大きさが偏らないようにバランスをみて石を置いていき、少し離れたところある観音堂前の古い石畳みを模写するような雰囲気を心掛けました。
↑ 玄翁にての(大割り)風景
↑ (コヤスケ)による加工風景
↑ 仮置きと配置バランス風景
また、参道の一部には親子石(半分にして使用した石)の設置や、
【シークレットの石】も遊び心でご住職の承諾を得て施工しましたので、
お時間ある際には足を運んで探していただければ幸いです。
また、解体時に掘り起こした土から出てきた玉石を池部の淵に並べたり、寄進銘板石用の本体石も
個性的な石が出てきたので山門右前に施しました。
【いろはもみじ】を有する池に相応しい景観になったと思います。
施工開始から約2週間の間でで、素晴らしい いろはもみじも一日一日色付き始め、
参拝者の方々が増える前にお引き渡し出来た事
また、今回の工事にも携われた事に深く感謝したいと思います。
完成
今は亡き研修会でお世話になった〇〇建設さんの会長さんが
「たとえ小さな石1個でもきちんと意味があって役割を果たしている。天台宗の教えの
(一隅を照らす)になぞえて(1石を照らす、1個の石も大事にしているんだよ)」
とおっしゃってました。
時を経てご縁があり、天台宗の石行寺の檀家の一員になり
この仕事に〇〇会長の言葉も思い出しながら感慨深くさせていただきました。
また、ご住職様と休憩のお茶の際に「1石1石と温かみがあるね」と言っていただき心が和みました。
私以外の作業風景や、ご住職様のコメントもお寺様のホームページにも記載されております。
ぜひご覧ください。
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